300328

ブォーン。ブォーン。ブォーン。
騒音で目が覚める。

河川敷の上の方を見やると黒い服を着たナニカが列を成して歩いていた。
向こうもこちらに気づいたようで、一人ナニカがこちらにくる。

「お別れしてあげてください」

切羽詰まったように連呼して手を引っ張られた。
あぁ誰か亡くなったんだなと思った。

人一人しか入れないほどの斎場で一人ずつ別れを告げた。
最後の自分の番になり、そっと顔を見るも、それもまたナニカだった。

ナニカに別れを告げ外に出ると、喪主は斎場に火をつけた。
盃を受け取り、皆でぐるりと斎場を囲む。

「また会える日までさようなら!」
そう誰かの声がして盃を掲げて酒に口をつけた。